1.社会保険の適用事業所と被保険者

社会保険の適用事業所である会社に入社し、被保険者となることができる人であれば、健康保険や厚生年金の手続きが必要となります。

1-1 健康保険・厚生年金保険の適用事業所

健康保険・厚生年金保険ともに事業所単位で適用されます。適用を受ける事業所を適用事業所といい、事業所には2種類あります。

強制適用事業所

強制適用事業所とは次に挙げた事業所で、法律により社会保険への加入が義務づけられている事業所のことです。

  • 常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所
  • 常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人のすべての事業所

任意適用事業所

任意適用事業所とは、強制適用事業所とならない事業所です。次の2つの要件をともに満たすと適用事業所になることができます。

<要件>

  1. 事業所で働く2分の1以上の人が希望した場合
  2. 社会保険事務所長等が認可する

働いている人は全員(ただし被保険者から除外される人を除く)が加入することになります。
適用事業所になると、保険給付や保険料などは強制適用事業所と同じ扱いになります。

1-2 健康保険の被保険者

社会保険に加入し、病気やけがなどをしたときなどに必要な給付を受けることができる人のことを被保険者といいます。

健康保険の被保険者は、国籍・性別・年齢・賃金の額などに関係なく、適用事業所に使用されているすべての人です。ただし次の「適用除外」に該当する場合を除きます。

健康保険の適用除外

次に該当する場合は健康保険に加入できません。

  • 船員保険の被保険者
  • 1か月以内で日々雇い入れられる人
    (ただし、1か月を超えて引き続き使用される場合はその日から被保険者となる)
  • 2か月以内の期間を定めて使用される人
    (ただし、所定の期間を超えて引き続き使用されるようになった場合はその日から被保険者となる)
  • 4か月以内の季節的業務に使用される人
    (当初4か月以内で使用される予定であったが業務の都合により継続して4か月以上使用されることになった場合においても被保険者とならない)
  • 6か月以内の臨時的事業に使用される人

1-3 厚生年金保険の被保険者

厚生年金保険の被保険者は

  • 適用事業所に使用される70歳未満の者または
  • 社会保険庁長官の認可を受けた、適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者

です。ただし次の「適用除外」に該当する場合を除きます。

厚生年金保険の適用除外

次に該当する場合は厚生年金保険に加入できません。

  • 共済組合の組合員
  • 私立学校教職員共済制度の加入者
  • 臨時に2か月以内の期間を定めて使用され、その期間を超えない人
  • 臨時に日々雇用される人で1か月を超えない人
  • 季節的業務に4か月を超えない期間使用される予定の人
  • 臨時的事業の事業所に6か月を越えない期間使用される予定の人
  • 所在地が一定しない事業所に使用される者

1-4 労働保険の適用事業所と被保険者

労働保険とは労災保険と雇用保険との総称です。

労働保険の適用事業所

労働保険の適用事業所は次の2つに区分されます。

当然適用事業

1人でも労働者を雇用していれば、当然に労災保険・雇用保険の保険関係が成立する事業をいいます。

暫定任意適用事業

農林水産の事業のうち、常時使用労働者数が5人未満の個人経営の事業のことをいいます。
ただし、次の要件のどちらかを満たすと適用事業所になることができます。

<要件>

  • 農業に限り、事業主が特別加入をする場合
  • 事業所で働く過半数の人が希望した場合

労働保険の被保険者

原則として、労働者を1人でも雇っていれば、事業主は加入手続きを行い労働保険料を納付しなければならないことになっています。この「労働者」には、パートやアルバイトも含みます。